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モテる人のマンガ道「うみべのストーブ 大白小蟹短編集」

心が洗われるマンガにであったことがありますか。

うみべのストーブはそんなマンガです。以下、少しネタバレがあります。

おおしろこがにさんが書いたこのマンガ、日常の風景が色濃くなるのが感じられます。

全七編からなるこの作品は心に付いた煤を払ってくれる、小さな力があります。

1.うみべのストーブ

彼氏彼女だった男女がすれ違い別れてしまう、彼女は彼氏の良いところに気づかないまま。

彼氏は別れてしまった彼女の事を引きづっている。

ストーブが話始める、彼氏はストーブと会話することに驚いている。

ストーブの提案で、彼氏は彼女に海に行こうと誘う

彼女は果たして来てくれるのだろうか、海辺で待つ彼氏とストーブ。

2.雪子の夏

雪女と彼女の出会い。

雪女の苦しみや悩みは、彼女と出会うことで解決していく。

彼女はごく自然体で雪女に接する。

雪女は夏に興味があった、暑い暑い夏の日に。

暗い暗い雪の冬。空に積もった雪の幕。

雪の幕の無いまっさらな青い空に、夏特有の濃く青い空が広がる。

夏祭りに出かけた雪女と彼女。

彼女にとって忘れられない夏になる。

3.きみが透明になる前に

事故で透明人間になってしまった彼氏。

同棲していた彼女はそんな彼氏を見て不安を感じていた。

彼氏もまた、透明になったことに不安を感じていた。

ある日、彼氏は洋服をすべて脱ぎ捨てて街に出かけた。

気持ちの変わり方を確かめたかったのだ。

彼女が家に帰ると彼氏を発見する、冷たく疲れ切った彼氏を。

彼女はその後気づくことになる、彼氏の好きだったところを。

4.雪を抱く

彼女は妊娠した、周りから祝福を受けた。

彼氏から祝福を受けた、だが、彼女の気分は晴れない。

それは、周りの親切な言葉が彼女の心のモヤモヤを膨らませるからだ。

雪で帰りの電車が無くなる。ホテルもどこも開いてなく、ファストフード店で時間をつぶす。

隣の席に座ったかっこいい女性にうっかり話しかけてしまう。

その後、二人は意気投合し銭湯に行く。

朝を迎えると心のモヤモヤは無くなっていた、それはなぜだろう。

5.海の底から

日常を海中の底だと感じている彼女。

一体、この海の底から這いだせるのだろうか。

普通に仕事して、お金に困らず、性格の良い彼氏もいて、はたから見ると充実した毎日を送っているように思える。

昔からの友人たちとご飯を食べることになる。友人は文学賞の候補に選ばれていた。

それを聞いて彼女は嫉妬し羨ましく思った。

友人たちは海中を自由に泳ぎ回っていて、彼女は海中の底を足で歩いていると差を感じていた。

彼女は自分の本心に気づくことができたのだろうか。

そして海中から脱出することはできたのか。

6.雪の街

彼女は電車に乗り仕事に向かった。

彼女の携帯に留守番電話の着信があった。

何気なく聞くと昔の友人が亡くなったとのことだった。

彼女は葬式に参列した。親友だからこそ泣けなかった。

亡くなった友人と行っていたファミリーレストランへ足を運ぶ

そこで共通の知人と知り合う

その彼と亡くなった彼女の話をした、たくさん

親友を喪失してしまったという実感が湧いてくる。

親友を喪失するということがどういうことか分かってくる。

7.たいせつなしごと

毎日エンターキーを押す仕事に飽きてきた彼女。

ビルの外には工事中の建物が見えていた。

工事が終わった建物はとても美しく、彼女の中に何かが芽生えた。

果たして彼女はたいせつなしごとに気づくことができるのだろうか

終わりに

日常の一コマを綺麗に切り取られてしまった。

その綺麗に切り取られた場所に、この作品はピタッと収まってくれる。

一度読んでみるべき作品です。

 

 

 

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